岩崎量示 オンライン写真展『タウシュベツ川橋梁-輪廻-』
2020年5月1日(金)10時 Open
-17日(日)18時 Close
写真32点のほか映像なども用意しています。ぜひ、お時間に20分ほど余裕のあるときにご覧ください。
本写真展会場では Chamber Music Trio「Silencio」を流す予定でした。雰囲気だけでもぜひ。
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<目次>
1)オンライン写真展『タウシュベツ川橋梁-輪廻-』 予告動画(YouTube 2分04秒)
2)写真展 ご案内
3)『タウシュベツ川橋梁-輪廻-』公開によせて
5)出現から水没へ タウシュベツ川橋梁を巡る季節をタイムラプス動画にて(YouTube 2分41秒)
7)2019年写真展『タウシュベツ川橋梁』(北海道帯広市、廊-KOHBUNDO-)にて公開の映像(YouTube 5分7秒)
8)写真展本編 1月―2月
9)『タウシュベツ川橋梁-輪廻-』 おわりに
10)写真展期間中限定公開 タウシュベツ川橋梁 オリジナル映像(YouTube5月16日公開 2分30秒)
本展示の土台となったのは『タウシュベツ日誌 第0号』。今年4月に刊行した新作ZINEです。
タウシュベツ川橋梁の記録を撮り始めて15年が経つのに合わせ、今年から年に2~3号ずつ、その時々で最近のタウシュベツ川橋梁の様子をお伝えする『タウシュベツ日誌』を制作することにしました。その創刊準備号として刊行したのが第0号です。
本の中には、2019年9月から今年2月末までの半年間の移り変わりを捉えた写真を時系列に収録。また、橋の上をまだ人が歩くことができた頃の懐かしい写真なども加えて構成しました。
オンライン写真展『タウシュベツ川橋梁-輪廻-』は当初、北海道帯広市のギャラリー・廊-KOHBUNDO-での開催を予定していた同名写真展のオンライン版です。本展示では「タウシュベツ日誌 第0号」収録写真のうち、最近半年の間に撮影したものをすべてご覧いただけることになりました。
また展示作品はすべて、期間中に限りオリジナルプリントをお買い求めいただけます。ギャラリーのご厚意により実際の展示で使用を予定していた額に納めた写真を、送料ギャラリー負担にてお届けします。
夏のあいだに糠平湖底一面に生い茂った草が、秋になり、湖に沈んでいく。
『タウシュベツ日誌 第0号』の表紙を飾った1枚。水位上昇が遅れた昨年は9月半ばにようやくめがね橋が見られた。
本当に日本の光景なのかと目を疑いたくなるような場面に、今でもたまに出会うことがある。
糠平湖が誕生した1955年、水没するエリアの木々は切り倒され、今は切株がその名残りを留める。
水温と気温との寒暖差で生じるけあらしに包まれるタウシュベツ川橋梁。
この橋の上をかつて列車が走っていた。
この景色の中を列車が走っていたわけではない。
禅問答のような事実。
橋が水に没し、静けさを取り戻した湖は彼らの場所へ。
ここ数年、橋上で羽を休めるアオサギを見かけることが増えた。
足音をおさえながら距離を縮めてもやはり逃げられてしまう。
東大雪の山々が紅葉に包まれる頃、タウシュベツ川橋梁は湖へと沈む。
短い紅葉シーズンが終わると、もう雪がちらつき冬の気配が漂う。
タウシュベツ川橋梁が沈む水面に雪が吸い込まれていく。
風が止み、冷え込みが強まったある日、湖面はまたたく間に薄氷に覆われる。
クリスマスギフトのような早朝の光景。
薄く張った氷が吹き寄せられ、不思議な紋様を造り出していた。
タウシュベツ川橋梁全体が水没した状態で糠平湖が結氷したのは久しぶりのこと。
糠平湖上への立ち入りが解禁される前に、待ちきれない足跡が増える。
<閑話休題>
昨年、北海道帯広市のギャラリー・廊-KOHBUNDOでの写真展会場で流した映像をYouTubeで公開しています。
水力発電に使われる糠平湖の水位低下の速さは、冬の1日で15cmから20cmほど。
橋が徐々に姿を見せ始める時期には足を運ぶたびに違う印象を与えられる。
氷を突き破って生えてきたようにも見せるタウシュベツ川橋梁。
厚さ20cmを超える青氷。凍る過程で水中の不純物が少なくなるほど青く見えるという。
完成から80年ほどのコンクリート建造物が、尋常でない速さで劣化していく原因のひとつが氷による浸食だ。
4年前に記録的な豪雨をもたらした「平成28年台風第10号」により、糠平湖に多くの倒木が流れ込んだ。
かつてはきれいな真円を描いていたアーチが落とす影。
2月半ばを過ぎると、たまに寒さが緩む日ができる。その翌日、再び訪れた厳寒の朝に霧が生まれた。
冬霧に包まれるタウシュベツ川橋梁。適切な時に、適切な場所にいること。
冬が終わりに近づくと、-19℃近い冷え込みでも太陽が昇ると暖かさすら感じる。
2020年2月27日、『タウシュベツ日誌』創刊準備号に収録する最後の1枚を撮れればと、日が暮れるのを待って糠平湖を歩いた。春が近づいているとはいえ、夜に向けて気温はどんどん下がっていく。澄み切った空を見上げながらただただ歩く。
いつの間にか、僕は霧に包まれていた。
本日公開
展示作品のオリジナルプリントを、期間中(2020年5月1日-17日)に限りご注文いただけます。A5~A3サイズおよび30cmスクエアにて、低反射アクリルを使用した額装仕上げでのお届けとなります。額装および発送作業は北海道帯広市の額装店・弘文堂額装室が担当。6月上旬頃(※)の発送予定です。
※緊急事態宣言の延長に伴い、発送時期が6月中旬頃まで遅れる可能性があります。また、今後の動向次第で発送時期に変更が生じることがあるかもしれません。ご了承ください。
またオンラインショップでは、当展示の作品を収録した『タウシュベツ日誌 第0号』や昨年刊行のZINE『裏タウシュベツ拾遺』の他、タウシュベツ川橋梁をモチーフに制作したオリジナルデザインのトートバッグなども販売しています。
期間中にオンラインショップで1,500円以上お買い上げいただいた方には、幻となってしまった本展示「タウシュベツ川橋梁-輪廻-」のDMを差し上げます。